大嫌いだから、ね? ③
「それより、それより、陽菜さん、告白されてたよね。
茶髪の、ちょっと、悪そう? ううん、軽いヤンキーみたいな、名前なんだったかな?
忘れちゃったけど」
・・・軽いヤンキーって、なに?
うちの学校は高校は共学になってしまったけど、ずっと女子ばっかりで、あまり世俗をしらないというか、純粋培養のお嬢様みたいな子も多いいんだ。
私も女子育ちだけど、さすがに髪を染めているくらいじゃ、ヤンキーとは思わない。
「そうそう、斉木くんっ! なんだか、彼もちょっとカッコイイよね。
ちょっと悪そうなところが、いいなぁ」
・・・ん? なんだか、私への質問というより・・・なんだか、うらやましいとかそういう話になってきているような気がする。
「私も、共学になったら、もっと、男の子と、お近づきになれるかと思ったのに、ぜんぜんだもん。
つまんない。楽しみにしてたのにぃ」
「ほんと、ほんと。共学っていったって、下足場違う、校舎違う、クラス違う。更衣室違う。って・・・これは、あたりまえか。
もっともっと、男の子と接することができるって思ってたのにぃ。
詐欺だよ、詐欺」
「そうだよ。私だって、もっと男の子とお話したい! ドキドキしたり、告白されたい!
これじゃ、ぜんぜんだよ!
カップル誕生だってさぁ、外部入学の子ばかりじゃん! うちらは、なんか相手にされてないって感じだよねぇ! 遠巻きに眺められてもうれしくない! 珍獣じゃないっての!」
珍獣・・・そう叫んだ彼女は、日本人形みたいな超美少女で・・・たしかに、遠巻きに眺めることしかできないような美少女だ。
遠巻きに眺めているだけじゃ、彼女の、外と中身のギャップはわからないだろう、たぶん。