恋の魔法。
神田咲哉はあたしを
じっと見つめていた。
悲しそうな瞳で。
そしてゆっくり
腕を持ち上げ
あたしの両肩を
優しく掴んだ。
「由梨…。
やっぱりお前なんも
悪くないじゃんか。
その過去の出来事は
お前が今幸せに
暮らしちゃいけない
ってことの理由には
不十分すぎる。
なんでお前はそうなんだよ!
もうちょっと自己中に
なればいいだろ!
なんでもっとわがまま
言ってくれねえんだよ!!」
「だって…
あたし、怖いんだよ…。
本当は友達だって作りたい。
みんなでどうでもいいこと
話して笑い合ったり
どっか遊びに行ったり
してみたいよ。
だけど、もしまた
裏切られたら、
って思うと怖いの…!
大切な人をつくって
その人がまたあたしの
目の前からいなくなったら
って考えると
怖くてたまらな…!!」