恋の魔法。
過去
―――…
残暑が厳しい季節。
夏休みも終わり
新学期が始まって
1週間ほど経った。
「咲哉おっはー」
「…おう」
「んだよ元気ねえなー。
あ、七瀬さんか…」
「わり。
オレ屋上行くから」
「あ、おい…」
そう。
あの日から由梨とは
まともに話せてない。
あれから由梨のことが
気になって
夏休み中も何度か
家に行ってみたけど、
由梨は出てきて
くれなかった。
由梨の母ちゃんも
由梨の中の何かを
感じとっているのか、
オレが来るといつも
困った笑顔で
申し訳なさそうにしていた。
それでも夏休みが明けたら
教室で会うことができる。
そしたらまた1学期のように
話せると思ってた。