お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
自分勝手なこの気持ちを止められないあたしはなんてワガママなんだろう。
…桐生はきっと色々考えていたんだんだろうな、
今日あたしにこれを伝えるために悩んでいたんだろうな…
それでも理解と感情は全く別物で、この涙を止める術すらわからない。
ごめんね、桐生…
「…わかったから」
優しい声に顔を上げると困ったように微笑む笑顔がそこにはあった。
「萌の気持ちは十分わかった」
背中に手を回してギュッと抱きしめられる。
夕焼けに並んでいた影が大きな一つの影になった。
「…俺はニューヨークには行かないから。だからもう泣くんじゃねえよ」