お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
悔しそうな声。
震える肩を抱きしめたい気持ちをぐっと堪えて、桐生と視線を合わせた。
「仕方ないよ。元々桐生とあたしじゃ釣り合わないんだよ」
「…っ」
「家も…財閥で働く人も…桐生には守らなくちゃならないものがたくさんたくさんあるでしょ」
泣きながら笑ったあたしを見て、桐生はさらに悲しそうな表情を見せた。
そしてあたしの体を
強く強く抱きしめた。
「ごめん…幸せにしてやれなくて」
あたしは桐生の腕の中で何度も首を振った。
「あたしは…幸せだよ」
誰よりも愛しい貴方が
あたしのことを愛してくれたから。
残酷な運命以上の
幸せが、今ここにあるから。