お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~

「そんなの…」


ミサトが言いかけたとき、俺はハッとなった。


「まさかお前、まだ桐生のこと…」


嫌な予感が一瞬で頭の中を支配した。


――――・・・


「ほらよ」


「ありがと」


「それじゃ」


カチンとグラスが合わさる。


バルコニーに出ると階上の盛り上がりが嘘のように静かだ。


あたし達は手すりにつかまって空を見上げていた。


「寒くないか?」


冬なのに外でドレス一枚という格好のあたしに気遣って、桐生が上着を貸してくれた。


「ありがとう」


羽織ると桐生のいい匂いがした。


こういう優しいところ、変わってない。


それだけで涙が出そうになった。

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