お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
「辛いんなら俺のことは、忘れて」
残酷な言葉をなるべく笑って言った。
「え…」
一瞬にして凍りつく萌の表情。
最低だって思ったか?
「先の未来に俺のことを思い出して泣くくらいなら、いっそ忘れてくれた方がいい」
「できないよ」
萌は目にいっぱい涙を溜めて首を横に振る。
「できなくても、そうするしかないだろう?」
「そんな…」
今までにないくらい絶望した表情をした大好きな人が目の前にいる。
本当は抱きしめて甘やかしてやりたい…
本能が理性を徐々に追い詰めていく。
頑なに否定して萌は泣き続けたままで…。
好きなんだよ…
グッと唇を噛みしめる。
この思いだけで俺は十分だ…
だから、覚悟を決めて俺は最後の言葉を口にした。
「なら、俺が忘れさせてやろうか?」