お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~

泣いているくせに俺の服の裾を掴んで離さない。


「いらねえって言ってんだろ」


俺もムキになっていたのかもしれない。


萌の手をどかそうと引っ張ると今度は腕にしがみついてきた。


「だめですっ!!いいって言ってくれるまで離しませんから!!」


ぐちゃぐちゃになった泣き顔。


なんてここまで俺に執着するのかがさっぱりわからなかった。


今思えばそれは萌の育った家庭環境としては当たり前だったんだ。


ご主人様のために生きる、


それが萌に科せられた運命。


だけど


「お願いですっ!!桐生様の傍にいたいんですっ!!」


まるで告白にも聞こえなくないその台詞。


その言葉は孤独な俺の心を動かすくらいたやすいものだった。


自分の知らない感情に心ごと飲み込まれてしまいそうになる。



なんだ…この感覚。


でも


「わかったよ。ただし…使えないって思った時点ですぐ辞めてもらうから」


何故か嫌じゃないんだ…

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