お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
そう言って恭ちゃんはあたしの体に回した腕の力を強める。
「幸せになるんじゃなかったのかよ」
「…っ」
何も言えなかった。
恭ちゃんに返す言葉なんて今のあたしにはひとつもなかったから。
「どうして…」
かすれた声が心を痛めつける。
恭ちゃんはずっとずっと応援してくれていたというのに。
答えることができなくて
そのまま沈黙の時間が過ぎていく。
いつの間にかバルコニーの向こうには雪がちらついていて
吐息が白くなって消える。
「…桐生のことが嫌いになったのか?」
「ち、違うよっ!!」
恭ちゃんの突然の問いかけに慌てて答える。
だってそんなこと…あるはずがない。
「…でも、これで良かったんだよ」