お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
感心したように友ちゃんは言葉を漏らす。
「あたしもびっくりしたの。てっきり嫌われたと思っていたから…」
下を向くとホットココアの湯気が頬を撫でる。
甘い香りがテーブルに広がった。
「嫌いになるわけないでしょ。ずっと昔から一ノ宮君は萌のことしか見てなかったし」
「そうなの!?」
「気づいてなかったの?この鈍感娘」
友ちゃんに指でおでこをつつかれた。
「わからないよ…全然」
桐生の愛情表現はすごくわかりづらい。
いつも自分を犠牲にしてあたしのことを守るから。
「アンタがそういう子だから一ノ宮君もほっとけなかったのかもね」
友ちゃんはクスッと笑う。
スプーンでカップの中をかき混ぜながら見つめる窓の外は雪が降りそうだった。
携帯を開くと時計は12時45分と表示されていた。