お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
「桐生君、元気でね!!」
別れを惜しむクラスメートに手を振られる。
「そろそろ時間です」
「あぁ」
黒いスーツにサングラスをかけた関係者に促され俺はゲートへと歩き出す。
いよいよか…。
カツンと靴の音が耳に響く。
目を閉じると思い出すのは懐かしい記憶。
そして…あいつの
萌の笑顔。
瞼の裏に映ったあいつは幸せそうに微笑んでいた。
さよなら、萌ー…
「桐生」
その声は突然、
そして静かに俺の名前を呼んだ。
逆光に照らされた入口の方向から手を上げて歩いてくる。
俺は自分の目を疑ってしまった。