お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~

「なんで…こんな…」


「なんでじゃないだろ」


恭史郎が俺に近づいてくる。


そして拳を振り上げる。


いきなりのことに驚いて目を瞑るとそれはいつになっても振り下ろされることはなかった。


代わりにおでこにピタリと恭史郎のグーが触れる。


「お前がかっこつけて悪者になって、それで俺や萌が幸せになれるわけないだろ」


「…知ってたのかよ」


「いや、昨日の萌とお前のところに行った時お前とミサトの立ち話を偶然聞いただけ。元々なんかあるとは思ってたけどさ」


「……」


言葉が出てこなかった。


どうしていいかわからなかった。


「何深刻な顔してんだよ。逆に何も知らなかった方がやばかっただろ」


「でも俺は萌に…」


「萌がお前のことを嫌いになるわけないだろ。俺になんて1mmも振り向いてくれないくらいだよ」


恭史郎は苦笑いする。

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