お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
「だからせめて萌のその気持ちくらいは受け取れよ」
「…ああ」
胸がいっぱいになるほどの何かで溢れてくる。
悲しみのどん底にいた俺の心に舞い込んだ大きな希望。
それは恭史郎への感謝。
そして萌を想う愛おしさ。
幸せの意味を知った気がしたんだ。
「桐生様、早くして下さい!!乗り遅れますよ!!」
付き人の一人が慌てて迎えに来る。
「今行く」
俺は搭乗口へとまた足を進める。
「恭史郎、ありがとな」
振り返ったときの恭史郎は笑顔で片手を突き上げていた。
「頑張れよ!!桐生」
「あぁ」
その声に安心して俺はゲートをくぐった。
外は肌寒い曇り空。
一筋だけ差し込んだ光はちょうど飛行機を照らしていた。
光の方向へ微笑むと俺は飛行機に乗り込んだ。