お仕置きしてやろうか?~ご主人様は俺様王子~
「入れよ」
懐かしい声を合図に扉を開ける。
振り向いた君の顔を見た瞬間、涙が零れそうになった。
「ただいま」
そう言う君は意地悪っぽく笑う。
襟足の長くなった黒髪。
制服じゃない、スーツを着こなした桐生はすごく大人っぽくて。
漂う色気、そしてその澄んだ瞳からあたしはもう目が離せない。
言葉さえ失ってその姿を見つめていると
「何だよ、俺のこと忘れたのかよ」
不満そうな声が飛んでくる。
「忘れる…わけないじゃん」
年を重ねてもドSは変わっていない。
桐生はクスッと笑うとあたしに向かって手を伸ばす。