大人の世界

2




「そんなことないよ!本当や!・・・」




「嬉しいもなにも、あたしの存在なんて、忘 れとったやろ?」

「そんなことないよ・・・あれから『KABUKI』 、くるかな~とか、思っとったよ・・・」



「・・・あぁ、一回も行かんだよね」

「うん・・・」



「行けるわけないやん。高校生やったもん。 」

「・・・あ、そっか・・・」

・・・・・・。




「・・・今日、どうやって来てん?車?」

「あぁ、ゆきみとね、もう一人運転手と」


「えぇ~!そうなん?!じゃあ、待たせとる ?外で」

「うん、大丈夫。ゆって来たし」




「そっかあ・・・、ゆきみちゃんも懐かしいな ・・・」

「そやね」







そうやってしばらく・・・ 今までのこと、今はどこに勤めてるかだと か、 他愛もない

話をした・・・ 「キュウキ」は、あの時のように 余裕ぶった態度をとるわけではな

く、どこ か気を使いながら、喋っているようだった




「だけどほんとにまた、・・・こうやって会え るなんて、思ってもみんだ・・・」

私は「キュウキ」をじっと見た・・・



「あの日、キュウキさん、すぐ帰るんやもん 」

「あぁ・・・、そうやったね」



「キュウキさん、冷たっ。そっけなかった」

「そ・・・、そんなことないよ、別に・・・普通や ったよ」

「そぉ?・・・ううん、・・・あたし、ずっと寂し かってんよ」




「え?!」


「だから、あの後ずっと・・・キュウキさんの こと、忘れられんかった・・・」 「学校行き

ながら、ずっとキュウキさんのこ とばっか、考えとった・・・」






「ゆかちゃん・・・」


「・・・でも、また会えた・・・。不思議・・・」

「嬉しい・・・」





私は、笑った


「キュウキ」は、終始・・・、


私に圧倒されてるかのように・・・、 戸惑っていた

それがどこか面白くて、・・・もっと言いたい ような気分にもなる・・・

「あの日」の私では、ない―――







< 17 / 44 >

この作品をシェア

pagetop