大人の世界
2
「そんなことないよ!本当や!・・・」
「嬉しいもなにも、あたしの存在なんて、忘 れとったやろ?」
「そんなことないよ・・・あれから『KABUKI』 、くるかな~とか、思っとったよ・・・」
「・・・あぁ、一回も行かんだよね」
「うん・・・」
「行けるわけないやん。高校生やったもん。 」
「・・・あ、そっか・・・」
・・・・・・。
「・・・今日、どうやって来てん?車?」
「あぁ、ゆきみとね、もう一人運転手と」
「えぇ~!そうなん?!じゃあ、待たせとる ?外で」
「うん、大丈夫。ゆって来たし」
「そっかあ・・・、ゆきみちゃんも懐かしいな ・・・」
「そやね」
そうやってしばらく・・・ 今までのこと、今はどこに勤めてるかだと か、 他愛もない
話をした・・・ 「キュウキ」は、あの時のように 余裕ぶった態度をとるわけではな
く、どこ か気を使いながら、喋っているようだった
「だけどほんとにまた、・・・こうやって会え るなんて、思ってもみんだ・・・」
私は「キュウキ」をじっと見た・・・
「あの日、キュウキさん、すぐ帰るんやもん 」
「あぁ・・・、そうやったね」
「キュウキさん、冷たっ。そっけなかった」
「そ・・・、そんなことないよ、別に・・・普通や ったよ」
「そぉ?・・・ううん、・・・あたし、ずっと寂し かってんよ」
「え?!」
「だから、あの後ずっと・・・キュウキさんの こと、忘れられんかった・・・」 「学校行き
ながら、ずっとキュウキさんのこ とばっか、考えとった・・・」
「ゆかちゃん・・・」
「・・・でも、また会えた・・・。不思議・・・」
「嬉しい・・・」
私は、笑った
「キュウキ」は、終始・・・、
私に圧倒されてるかのように・・・、 戸惑っていた
それがどこか面白くて、・・・もっと言いたい ような気分にもなる・・・
「あの日」の私では、ない―――