大人の世界
陶酔


・・・・・・。

私は、なんだかドキドキして 目を剃らした


「初めまして」

私に言ってる、、、!


「アツシ」もゆきみも、もう顔見知りなの だ

「・・・・・、ヒサキ、さん?」



とっさに目に写った名刺の名前を読んだ

「『キュウキ』です」

そいつは、またニコッとした



「へぇ・・・」

「キュウキさん・・・」



私は、ドキドキしたままで、名刺を見たま まだった

「キュウキさん、この子『ゆか』ってゆう んやよ!あたしの一番の友達♪」

「へぇ、ゆかちゃんかぁ」



そうゆうと、三人は、いつもながらの調子 で、といったように慣れた口調で喋り始め た

私は、ゆきみや「アツシ」みたいに上手に 喋れない

それに入れずただ見つめてるだけだった



それから、初めてカクテルを飲んで見た

「ぅんっ・・・!」

思ったよりキツく、喉に入っていかない



「ゆかちゃんて、おとなしいね」

「キュウキ」が言った


「こんなところ、初めてやし・・・」

「えー!そうなん?真面目やね」



「そのカクテル、なんて名前か知ってる? 」

「えっとぉ・・・・・?」

「XYZ」

「エックス・ワイ・ジー?」

「そう」


「今夜はあなたに捧げます・・・って意味」

「えぇ・・・!」




私は、もうこんなに大人・・・のはずなのに、 ついていけない!

なんだかずっと恥ずかしくてうつむいてば かりいる

そんなことを、サラッという 「キュウキ」がとても大人に見えた

だけど「キュウキ」はまだ大学生

「アツシ」には終始敬語を使っている

私とは、4つくらいしか変わらないのだ




キラキラした甘い世界

夜の中にできた不思議な異空間

カクテルのせいかな・・・

フワフワと気持ちよく

まるで自分が別の世界で、別の人間になっ たみたいに・・・

どこか遠い

まるで禁断の場所に入って行ってしまうよ うな

そんなスリルによく似た淡い高揚感・・・


「キュウキ」の黒服が・・・

より一層、大人にさせ

何杯も飲めるお酒が

喉元を通るたび、首筋がとても綺麗で


こんなに子供染みた私とは

違うと思えば、思うほど・・・

たった4つ違うだけなのに、と

思えば、思うほど・・・

なぜか胸が高鳴った・・・


「キュウキ、お前も店あがれ」

「アツシ」が言った

「お前も次の店、俺らに付き合え」


「いいんですか?」

「アツシさんとなら、一緒に行ってこい。 あがっていいぞ、キュウキ。」

マスターが言った。




それから、私たちはこうして

「キュウキ」と、4人で

店を出ることになった



この意外な展開に

正直私は、嬉しさを感じた


『KABUKI』の階段を降りる私の前に

「キュウキ」の大きな背中があった・・・



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