大人の世界

1




「お前は、また・・・大丈夫なんか?」 先生が言う

「大丈夫やよ」


「気いつけないかんぞ」

「なにがよ、大丈夫やよ!」



そうして、3人で金沢の市街地に向かった

居酒屋で食事し、カラオケボックスに行っ た

いつものパターンだ


私たちは、なんでも融通が通り、なんでも 言える、この先生が、とても便利な存在だ ったんだろう・・・

そんな時でも、 いつもと違い、ソワソワする私・・・

後で、「キュウキ」さんと会うというワクワ ク感・・・

ゆきみが、"嬉しそうやね"と、言った

うん!・・・

素直に喜んだ・・・

大好きなカラオケをしながらでも、どこか 上の空で、時間ばかり気になる


時計が12時を回った

カラオケも、ちょうど時間がきて、私たち は外に出た

いつもなら、この後どこか飲み屋に行くか 、海にでもドライブに行ったりする


「どうする?」

ゆきみが言った


「う~ん、どうする?・・・」

「帰りたそうやね」 ゆきみがわざとらしく笑う


「そんなことないよ!・・・」

「あぁ・・・でも、そうかな」 私はニッと笑った



「キュウキに、ベル打ってみれば?」

「え?!いいん?だってまだこんな時間やよ 。ゆきみ寂しくないん?」

「いいよ、別に。またいつでも遊べるがいや 」

「そっか!」


だけど私は、何故かベルを打つのが急に怖 くなった

あんなに待ち遠しかった時間のはずなのに 、何故かためらった・・・


「どしたん?キュウキと遊ぶの、あんなに楽 しみにしとったのに・・・」

「あぁ、そやね・・・」


(どうしよう・・・・・。)

「いーがいや!とりあえずベル打ってみ!」

ゆきみに、そう言われたこともあり、 この気持ちがなんなのか、分からないまま とりあえず、ベルを打った・・・



「194***11」 ーイクヨ、イイ?ー

返信が、怖い・・・

約束したけど、何故か怖かった・・・


「大丈夫かな?!」

「大丈夫やよ!だって約束したんやろ?」


「うん・・・」


「そんな男、大丈夫か?飲み屋で知り合った んやろ?それもだいぶ前に・・・」

先生が言う

そんなこと言われると不安になる・・・

「うん・・・、でも・・・」



その時、私のベルが鳴った!


「114」

ーイイヨー


「キュウキ」からだ!

思ったよりもあっけなく、すんなり返信が 返ってきた

私のあの心配はなんだったんだろう?・・・ そんな気持ちも吹き飛ぶくらい、それ以

上 に、この返信が嬉しかった


「やった!大丈夫やって!」

さっきよりもますます、嬉しさがつのる、 倍になる


「ね!ゆうたやろ!」

ゆきみがそう言った



はやる気持ちを押さえて、車に乗り、野々 市に向かった

「キュウキ」の部屋に、 向かった


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