大人の世界
入口



「キュウキ」の部屋に入ると、 部屋の明かりは落としてあり

テレビの明かりだけが青く光ってて・・・

それがとても、 綺麗で・・・

とても、心地よい空間に感じた・・・



『KABUKI』で感じた、あの異空間に似た不 思議な感じ・・・

禁断の場所・・・



少しのスリルと、期待と不安と・・・ そんなものが入り乱れた場所ー

一瞬にして心がトキメキに覚醒する・・・



だから、ドキドキはやめられない―――




タバコの匂いと、アルコールの匂いと、 「エゴイスト」の香りが、 微かにした・・・

それがものすごく、「男」を感じさせた・・・



「何か飲む?」

「うん」

「・・・じゃあ、バーボンでいい?」

「うん」



「座っていい?」 今度はテーブルの、右側に座った

「キュウキ」は、その私の、右側に座った・・ ・




「キュウキ」はバーボンを、ロックで入れた ・・・

「今日会うの、二回目やね」


「うん・・・なんか不思議」

「自分でゆうたんやろ?」


「まあね、そうやけど・・・」

「キュウキ」は、フッと笑った



――すっかり、以前のキュウキさんね・・・

もう、変わった私には、慣れた?―――



「今日、何しとってん?」

「・・・別に、うちにおったよ・・・寝とったわ」

「なんか、予定とかあったんじゃない?もし かして・・・」

「別になかったよ・・・、ゆかちゃん来るって ゆうたし」




「待っとったよ」

そう言って笑うその顔が、たまらない・・・



いくら化粧を覚えても、 いくら外見を取り繕っても、

大人になったつもりでも・・・

このドキドキは、きっと・・・

何年たっても同じなんだろう・・・


私も、フッと笑った・・・




真夜中の、二人きりの時間・・・

どこまでも自由で・・・ いつまでも終わりがないような・・・

そんな錯覚さえするような、 不思議な時間・・・










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