大人の世界

2



「いいよ・・・、酔っ払って、つぶれたら、オ レが介抱してあげる」

「酔ったゆかちゃんも見てみたい」



「今日、泊まってくんやろ?」


「そのつもりで来たんやろ?」




そうだよ・・・


だけどそう言われると・・・

心に、チクッて、何かが刺さるみたいにな る・・・

ほんの一瞬、悲しさみたいなものが、よぎ る・・・




「・・・・・。」

私はタバコを手にとった


「そうやよ・・・」

「ダメ?」




大きく、息を吸い込んで、

タバコを吸った・・・


「だから、ダメじゃないよ・・・」




「だって、・・・あのままバイバイなんて、イ ヤやったもん・・・。」

「もっかいキュウキさんに、会いたいって、 思ったんやもん・・・」



「オレも、だよ。」


――ウソだ――・・・




そんなのすぐわかる・・・

いくらまだ小娘の私でも、それくらいすぐ わかる

女の勘は、するどい・・・







だけど私は・・・

「・・・ほんとぅ?」






それでもいいと思った

「本当だよ・・・」







このまま「キュウキ」に、 身を委ねたい・・・

「・・・嬉しい・・」








確かに感じてる、この感情に・・・

「・・・そぅ?・・・」








すべてをまかせてみたい・・・

「・・・フフッ・・・」








そう、思った――――







この先に、何が待ってるのか、

見てみたい・・・


「大人の世界」の入口に・・・

立ったばかりの私には、

そんな好奇心で、いっぱいだったのかも知 れない・・・






―――どうでもいい・・・、


しばらく、話した後に

そう、思った・・・



この部屋の空気が、そうさせた


アルコールが体中をまわり、

そうさせた――――




時計の針は、3時を回っていた・・・














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