大人の世界

2





――(自分に、素直にね・・・)――


ゆきみの言葉が、よぎる・・・





バーボンを初めて飲んだ、

あの、「キュウキ」の部屋の、真夜中の蒼い 光りがよぎる・・・




私は、ずっと・・・、

お酒で、紛らわす?

ずっと、何かで紛らわす?・・・

ずっと、ずっと・・・





――(ただの、強がりやよ)――


ただの、強がり?・・・








――(イヴの夜、空いてない?)――

――(大事な話しがある・・・)――


「キュウキ」の言葉が、ふいによぎる・・・







大事な、話し・・・

大事な、話って・・・・

なんだったんだろう・・・?







私は、

何も、聞こうとしなかった・・・







――――!!!


私は、立ち上がり・・・







私は・・・、

すべてに耳を塞いでいた?・・・

怖がってばかりで、

すべてから逃げていた?



自分に、素直に?・・・



素直・・・・・

素直・・・・・、











会いたい・・・・・









会いたい!!


会いたい、会いたい、会いたい!!!


「キュウキ」さんに、会いたい――――――!!









その瞬間、

車のキーを、取った――――



気づけば、

車を走らせていた

野々市へ・・・

「キュウキ」のもとへ・・・!


その時、

蓋をして、塞いでいた自分の気持ちが、

一気に溢れ出た・・・

自分の、ほんとの気持ちが、溢れでた・・・



すべてに目を背けていた自分に、

今、やっと、

気づいた・・・

やっと、そのことに気づけた―――







この距離が、もどかしかった

加賀から、野々市までの、遠い道のり

はやる気持ちを押さえて・・・

必死に車を走らせた・・・


ちゃんと話を聞こう!・・・

それが、恐れていた結果でも

ちゃんと、気持ちを伝えよう!・・・

答えが怖くても、もう逃げない!


すべてが、中途半端だったから、

だから苦しかった・・・

逃げることは、

もっと苦しみを増やすだけ・・・

それに気づいた今は、

一秒でも早く、「キュウキ」さんに会いたか った




会って、

今までの事、自分の素直な気持ち、ありっ たけの思いを、ぶつけたかった・・・

「待っててね・・!どうか、キュウキさんが、 いますように!・・・」

後少し、後少し・・・





やっと、野々市までやってきた

「キュウキ」のアパートが見えた・・・!


私は急いで車から降り、

階段をかけ昇った











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