大人の世界
秘め事
「シーッ!・・・」

そうゆうと、「キュウキ」は人差し指を口に 当てた

「・・・・・・・・・。」 「なに?!・・・・・・・」

小声で私が言った



すると「キュウキ」は、 人差し指を立てにして、「いち」の形にして ・・・

(ねっ!)

と、言うように、片目を少し閉じかけた



私は、わけが分からず

そのまま、じっと見ていた

すると「キュウキ」は、


「だから・・・・・」

と、小声で言った



もう一度、

同じポーズをする

(ねっ!・・・・・)



人差し指を「いち」にして・・・

「なに?!・・・」

思わず、私が聞いた



「だ~か~らぁ~…」

・・・・・・・・・・。




「1回だけ」


「キュウキ」が、小さい声でそう言った・・・




私の目の前で・・・

私の目をまっすぐ見て・・・

あの、優しい目で・・・

少し酒くさい、

男くさい、

吐息が、かかるくらいの距離で・・・



私は、高校生ながら、

その「1回だけ」、 の意味が、

なんとなく分かった・・・

だけど、わざと、

分からないフリをした・・・ 咄嗟に・・・




「・・・なにを?」

「だ~か~ら~…」

「1回・・・、ね!」




ドキドキドキドキドキドキ・・・・・

「だから、なにを?・・・」

「お前・・・、分かるやろ?」



さっきまでの、

「アツシ」に敬語を使っていた「キュウキ」と は、違う

『KABUKI』にいた、私に接客していた「キ ュウキ」とも違う・・・

そこには、ごく普通の工大生の、 一人の男がいた・・・



「わからんもん・・・」

また、わざと言った

「キュウキ」は、(はあ~?)と、言ったよう な顔つきで、笑い、

ゴロンと寝転び、上を見た

わざと言ってるのが、分かってるかのよう に・・・



「お前、わかるやろうが・・・、高校生やろ? 」

そう言うと、チラッとこっちを見た

私は、恥ずかしくて、 そのままでいた・・・




「ねぇ、ゆかちゃん・・・」




「1回だけ、しよ」




そうゆうと、またゴロンと寝返り、

更に、こちらに来た





ドキドキドキドキドキドキ・・・

私はもう、恥ずかしくて恥ずかしくて・・・

ずっと、ドキドキしっぱなしで・・・

近すぎる顔も見られず・・・

ずっと、うつむいていた




ヤバイ・・・・・・!

顔が当りそう・・・!

近すぎる・・・!

どうしよう・・・・・!!

そんな私の心の中を、 まるで見透かすかのように・・・

「キュウキ」はじっと覗き込む・・・



ニコッと、

笑ってるのが、わかる・・・!

恥ずかしいけど・・・

心地よい、トキメキ・・・・・・





「じゃあさ・・・」



「キスしようよ・・・」






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