大人の世界

2

「ちょっと!・・・・」

私は、咄嗟にその手を払いのけ、

体を離した




ガサッ!



「・・・んん~」

ゆきみが、寝返りをうった





ハッ!!

私は「キュウキ」とお互い、体をすくめた


・・・・・・・シーン。

しばらく、じっとそのままでいた




そのまま、ゆきみは寝たみたい・・

「キュウキ」と目が合い、 アイツはニコッとした

私の、払いのけた手を、 「キュウキ」は、握ったままだった・・・

不意に、握った私の手を見つめ・・・

「爪」を見た


「お前、ほんとに高校生か?・・・ほんとは、 中学生やろ?」

そうゆうと、ニヤッとした


「なんで?」

「金沢の高校生は、こんな爪しとらんぞ。」

そう言った・・・




私は自分の、 綺麗に切り揃えられた爪を見た

そして、フッと、 『KABUKI』にいた・・・

あの、綺麗にマニュキュアの塗られた、髪 の長い女性客が目に浮かんだ・・・

咄嗟に我に返り、 手を離し隠した

そして、急に自分がすごく子供で、 なんだか場違いな気がして、

ものすごく、恥ずかしくなった




「中学生じゃないもん!高校生やし!」

私はムキになった



「お前、まだ子供やな」




そうゆうと、「キュウキ」はそっぽを向いた

そしてまたすぐ、 体をこちらに戻し、

私の「あご」を触った



「もっと、大人んなって来い」

そうゆうと、ニッと笑った


私は、なんだか悔しくなり、 うつむいた・・・


とても、とても・・・

自分が、子供に感じた・・・

とても、とても・・・

大人になりたい、と思った・・・



「キュウキ」が、

私の右の耳を、触った・・・

それから、

手を広げ、

私の髪をかきあげた



長い髪が、右耳の横を流れた

そのまま、頭を撫でるように・・・

何回も、髪をかきあげる

何故かもう、

私も「キュウキ」の目を、反らさない・・・

恥ずかしがらず、 じっと見れる・・・


「キュウキ」の目が、

優しく私を見つめてる・・・



この時、すでに・・・

私は、「キュウキ」に、心を奪われてたのか も知れない・・・・・・・






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