君とタイムトラベル☆~過去からの手紙~
幼い頃、一度だけ拓登とこの丘に上った。
あの時、どうしてだか忘れたけれど、泣いてたあたしに拓登は黙ってあたしの手を握って、
ここに連れて来てくれたんだ。
そして夕焼けに染まるこの街の景色をあたしみ見せてくれた。
あれ以来、一度も此処には来ていない。
「何年ぶり、かしら?」
目の前に立つ大きな桜の木は、あの頃と何も変わっていない。
幹の色も、桜の花びらの綺麗さも、何もかも..
なんて浸ってる場合じゃないわ!
首を左右に振って余計な考えを取っ払う。
倉庫から拝借してきたスコップを持って地面に刺す。
土は少し硬いのか、なかなか奥へと進まない。