君とタイムトラベル☆~過去からの手紙~
ちょっと待ってよ、そんなの、無理に決まってるじゃない。
大体西本願寺って何処にあるわけ?
「たく、と、あたしにはむ..」
り、とまで言おうとしたところで拓登の手が放された。
そして急に立ち止まる。
「大丈夫。未華さんならきっと出来る」
まっすぐ見つめる瞳。
後ろから追いかけてくる声。
もう一度拓登を見ると大きく頷いた。
初めての江戸に来て。
まさかこんな事になるなんて思ってもなかったわ。
手にした硯箱をぎゅっと掴んで走りだした。
拓登がどうかうまく逃げてくれますように、そう祈りながら。