君とタイムトラベル☆~過去からの手紙~
聞いたのは手紙の内容だけで、差出人と宛名は聞いてなかった!
もう!拓登のバカ!肝心な事は教えてくれないんだからっ!
「あの、左吉さ..」
そこまで口にした時
「ここを開けろ!!」
物凄い怒鳴り声が耳に響いた。
「あそこから出て裏に回っとけ」
左吉さんの囁く声に小さく頷く。
佐吉さんはそのまま草履をはいて、戸口に向かう。あたしの靴を持ってこちらに投げてくれ、
あたしは硯箱を持って反対の窓を開けた。足元に隠れるスペースを見付けてしゃがみ込む。
もう一度男の人の怒鳴り声が響いたのと同時に佐吉さんは扉を開けた。
「役人のお偉いさんが、何か用ですかい?」
佐吉さんの惚けた声と相手の声がかすかに聞こえてくる。
怒鳴った相手はどうやら町奉行らしい。
「ここに倒幕派の輩が入ったのを聞いてな」
「ここにはいませんぜ、何かあったんですかい?」
「いや..倒幕派を一人こちらで捕まえたんだが、もう一人がなかなか見つからなくてな、で、色々聞いたら貴様が一緒にいると聞いて来たのだ」