イケメン殿様と平凡少女
「おばさん、それ、いつ!?」
「ほんのちょっと前だけど…」
「あっ、おいモエ!」
おばさんの言葉と
同時に家を飛び出した。
バカだ。
あたしはバカだ。
どうして殿を
待たなかったんだろう。
ううん、
どうして追いかけなかったの?
殿を傷つけたのは
あたしなのに。
お城への道なんか
全くわからない。
浴衣じゃうまく走れない。
足が痛い。
そんなの関係なかった。
ただ殿に謝りたくて。
ごめんって言いたくて。
それでまたトマト
見に来てね、って。
ただそれだけ言いたくて。
あたしは無我夢中で走った。