イケメン殿様と平凡少女
「お前なあ…
今5回は呼んだんだけど」
「えっ?うそ!」
「大体ちゃんと
前見て歩けよな…」
どうやらあたしは
前にいたモスケに気づかず
ぶつかったらしい。
「てか、何?
帰ってきてたってことは
殿様には会えたのかよ」
「っ!
………うん!
ちゃんと仲直りできた!」
一生懸命笑顔を作って
ピースを見せる。
そんなあたしを見て
モスケは一瞬顔を歪め
あたしの手をとった。
「帰るぞ」
モスケはそれ以上
何も言わなかった。
でも繋いだ手が
暖かくて…
あたしは俯きながら
そっと涙をこぼした。