イケメン殿様と平凡少女








「ほら、着いた」

「ここ…?」









モスケに手を引かれ
着いた場所は屋外の
稽古場だった。



稽古場といっても
あたしの時代でいうと
公園のグランド
みたいなかんじ。












「ここがどうかしたの?」

「あそこ」









モスケの指差す先に
目を凝らすと…














キン!

ガキン!







「!!

殿…」












そこには数人の侍と
剣を交える殿がいた。












「見に来るときは
侍さんたちに
見つかんねえように来いよ。
見てるのバレたら
つまみ出されるからな。
じゃ、オレ畑戻るから」

「あっ!モスケ!
ありがとう!!」

「へーへー」












殿、すごい汗。





あたしはやっと
ここが戦国時代なんだと
思い出した。



確かにあたしには
場違いかもしれない。



あたしと殿の間には
大きな大きな壁がある。











モスケが帰った後も
あたしはしばらく
茂みの影に座っていた。









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