土の子と風の子
神様の領域に入ったので、邪悪な存在はここまで入ってこれないのです。
風の子はそっと土の子から離れて、宙に浮きました。
「えっと、あの、土の子やい・・・、オイラ、大そうなことをしたなぁ。ごめんよう、いじわるばっかり言って。」
もじもじしながら、風の子は土の子に謝りました。土の子は笑いました。
「ちぃとも気にしとりゃせん。お前さんがおらんと、せっかくわたしが神様のところに花の種を持って行っても、春いちばんが吹いてくれにゃあ草花たちは目を覚ましてくれんからな。」
土の子の笑顔を見ると、風の子は涙が流れる目をこすりながら、ヘヘッと笑いました。
「これからは、力を合わせて季節を運んで行こうな。」

それからふたりは神様のほこらへ行きました。
土の子が神様に春の草花の種をお渡しし、風の子は春の踊りを踊りました。
するとどこからともなく、賑やかな音楽が聞こえてきたかと思うと、春の到来を告げるパレードがやってきました。
それはそれは楽しい音色でした。
このパレードが全世界を1周する頃には、春が訪れます。
土の子と風の子は一緒になってパレードに参加しました。
辺りに、暖かいさわやかな風が吹き始めました。

春は、もうすぐそこです。




おしまい

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