桜花火

「え? 何が?」

「だーかーらー、そっちのな・ま・え!!」


佐伯くんは体をこっちに向けて座りなおし、私を指指して言う。


「あ、あぁ…。 えっと、川谷 小夜…です」


なんだか急に恥ずかしくなって、少しうつむいてしまう。


「かわたに さよちゃんね!! よっしゃ覚えた!」

佐伯くんはステキな笑顔をお持ちのようだ。

これは女子はオチるね。 確実に。


「さよってどういう字?」

「ち、小さい夜って書いて、小夜」

「へ~、キレイな名前じゃん」


あぁ、もう何なのこの人。

私の顔はきっと今、大変なコトになっていると思う。


「あり…がとう?」

「ぶっ!! なんで疑問系なの!」

佐伯くんは顔をクシャッとしてまた笑う。

「川谷っておもしれぇな!! まっ、よろしくたのむな!」

その人柄の良さに私の緊張していた心も緩み、自然と笑顔になる。

「うん」

すると佐伯くんが「あっ!」と声をだした。

「な、何・・・?」

「今 初めて笑ったなー。 可愛いんじゃない? それ!」


-----もう 一体この人は何なんだろう。
< 15 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop