もう一度、君に・・・

「なにもなかったけど、
メールしちゃだめかな？」

誰もいないリビングで、
一人、誰かに問いかける。

失恋したばかりなのに、
何でこんなに落ち着いてられるのか。
どうして悠灯さんの顔が出てくるのか。
分からなかった。


だから誰に聞いてほしかったんだ。


あたしは携帯を取り出し、
文字を打ち始めた。

だけど、なんて打ったらいいのか分からず、
文字を打つ手を止める。

「やっぱり、やめた。
さっきあったばかりの人に、
何言おうとしてるんだろ。」


そう言い捨て、携帯を乱暴に閉じる。

だけど、心のモヤモヤが消えなくて
ずっと考えてしまう。

「紗綾にメールしよっと」

誰かに聞いてほしくて、携帯を再び開く。

紗綾は、性格がさっぱりしてて、
嫌いな物は嫌い。
悪いことはダメって言えるような
自分の意志を貫き通す、カッコイイ女の子だ。


紗綾に自分のよく分からない
心の中を全て言った。