もう一度、君に・・・
あたしは、何もなかったようなそぶりを見せた。
「いえ。なんでもありません。
ちょっと転んでしまって・・・」
とっさに嘘をついた。
見ず知らずの人に、あたしの失恋なんて関係ない。
「大丈夫ですか?どこかケガしてないですか?」
しつこいくらいに心配してくる。
こんな彼氏だったら、
あたしも幸せだったかな?
大翔は、あたしに何の興味もなかったから、
あたしが転んでも、
心配すらしてくれなかった。
全ての出来事が大翔との思い出に繋がる。
あたしの生活って
大翔中心でまわってたんだ。
思い出したらダメ、忘れなきゃ。
そう思うほど、また涙が溢れ出す。
泣いたって時間は戻らない。
分かってるのに・・・
「何かあったんですね・・・
あの・・・ 僕で良かったら、
話聞きますよ?」