FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「逃げられちゃった」
紅葉はペロッと舌を出し、肩を竦めた。
そりゃ逃げるよな……と蓮や蒼馬は思った。しかし口には出さなかった。そんなことを言った日には、どんな仕打ちを受けるか分からない。
紅葉には逆らわない。この一ヶ月で学んだ教訓である。
聖はダイニングにある椅子に腰掛け、再び参考書に目を落とそうとした。
すると、目の前にグラスを置かれた。振動で氷が揺れ、カラカランと心地よい音を立てる。
「カフェオレ、砂糖多めでしたよね?」
そう言って微笑むのは李苑だ。
「ああ……うん。ありがとう」
「いいえ」
李苑はまた微笑むと、皆のいるリビングへと向かった。そして皆に飲み物を手渡している。
真吏にはアイスコーヒー、蒼馬と蓮にはオレンジジュース、紅葉にはウーロン茶。全員の好みを把握しているらしい。
気の利かない聖には、そんな小さなことでも感心出来た。
(いつもニコニコしてられんのも凄いな)
感心しながら李苑を眺めていると、ふと、目が合った。
一瞬、固まる。
慌てて視線を逸らし、参考書に目をやる。
「聖くん」
そこへ李苑がやってくる。そして参考書を覗き込んで、
「あの、その問題なんですけど。私どうしても解けなくて。教えていただいてもいいですか?」
紅葉はペロッと舌を出し、肩を竦めた。
そりゃ逃げるよな……と蓮や蒼馬は思った。しかし口には出さなかった。そんなことを言った日には、どんな仕打ちを受けるか分からない。
紅葉には逆らわない。この一ヶ月で学んだ教訓である。
聖はダイニングにある椅子に腰掛け、再び参考書に目を落とそうとした。
すると、目の前にグラスを置かれた。振動で氷が揺れ、カラカランと心地よい音を立てる。
「カフェオレ、砂糖多めでしたよね?」
そう言って微笑むのは李苑だ。
「ああ……うん。ありがとう」
「いいえ」
李苑はまた微笑むと、皆のいるリビングへと向かった。そして皆に飲み物を手渡している。
真吏にはアイスコーヒー、蒼馬と蓮にはオレンジジュース、紅葉にはウーロン茶。全員の好みを把握しているらしい。
気の利かない聖には、そんな小さなことでも感心出来た。
(いつもニコニコしてられんのも凄いな)
感心しながら李苑を眺めていると、ふと、目が合った。
一瞬、固まる。
慌てて視線を逸らし、参考書に目をやる。
「聖くん」
そこへ李苑がやってくる。そして参考書を覗き込んで、
「あの、その問題なんですけど。私どうしても解けなくて。教えていただいてもいいですか?」