FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
幻惑の中に落とされてしまった……そう、思った時。
キン、と高い金属音が鳴って、漆黒の世界が剥がれ落ちた。トン、と背中に軽い感触。
「どうやら追いかけてきて正解だったようだな」
年の割りに落ち着いた声が、後ろから聞こえてくる。
「……ナイスタイミングよ、ありがとう真吏」
倒れそうだったのを支えてもらい、紅葉は笑みを浮かべた。内心ではかなりホッとしていたが、それは表に出さない。
辺りには真吏が斬り落としたのであろう、夢幻球の欠片が散らばっていた。それを一瞥すると、前方を見据えて叫んだ。
「ファリア! コソコソしていないで出てきたらどう?」
ややあって、木陰から人影が出てきた。
痩身の、気の強そうな少女だ。
「貴女には聞きたい事があるのよ」
紅葉は言った。しかし、少女はクッと笑い、あっさりと言い放った。
「答える義務はない」
「質問する前から~」
紅葉は眉間に皺を寄せる。それでも、聞いてみた。
「貴女はどうしてヴァジュラの下にいるの?」
その問いに、少女は答えなかった。代わりに、薄笑いを浮かべ、両手に握っていた細い剣を片方ずつ振り下ろした。
ゴオオッと地鳴りがし、〝気”がふたつ飛んできた。
紅葉はすぐに大気中から2メートルばかりある棒を取り出し構えた。真吏も持っていた剣を前に翳す。
〝気”はふたつの武器にぶち当たり、ドオッと音を立てて弾けた。〝気”を受け止めた手は、じんわりと痺れた。
キン、と高い金属音が鳴って、漆黒の世界が剥がれ落ちた。トン、と背中に軽い感触。
「どうやら追いかけてきて正解だったようだな」
年の割りに落ち着いた声が、後ろから聞こえてくる。
「……ナイスタイミングよ、ありがとう真吏」
倒れそうだったのを支えてもらい、紅葉は笑みを浮かべた。内心ではかなりホッとしていたが、それは表に出さない。
辺りには真吏が斬り落としたのであろう、夢幻球の欠片が散らばっていた。それを一瞥すると、前方を見据えて叫んだ。
「ファリア! コソコソしていないで出てきたらどう?」
ややあって、木陰から人影が出てきた。
痩身の、気の強そうな少女だ。
「貴女には聞きたい事があるのよ」
紅葉は言った。しかし、少女はクッと笑い、あっさりと言い放った。
「答える義務はない」
「質問する前から~」
紅葉は眉間に皺を寄せる。それでも、聞いてみた。
「貴女はどうしてヴァジュラの下にいるの?」
その問いに、少女は答えなかった。代わりに、薄笑いを浮かべ、両手に握っていた細い剣を片方ずつ振り下ろした。
ゴオオッと地鳴りがし、〝気”がふたつ飛んできた。
紅葉はすぐに大気中から2メートルばかりある棒を取り出し構えた。真吏も持っていた剣を前に翳す。
〝気”はふたつの武器にぶち当たり、ドオッと音を立てて弾けた。〝気”を受け止めた手は、じんわりと痺れた。