FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
一番か弱そうな李苑が、一番しっかりしているのかもしれない。そう思ったら、ガチガチに緊張していたのが少し解れた。

男として情けない姿は見せられない。そんな変なプライドが自分の中にあると気付き、フッと笑みを浮かべた。

李苑にペコリと頭を下げると、妖魔に向き直る。

「ありがとう、李苑ちゃん!」
 
蒼馬、蓮も剣を構えなおした。

「結界解いてくれ」

「はい!」

李苑が結界を解くのと同時に、3人は目の前にいる妖魔達に攻撃を仕掛けた。

それ程動きの早くない妖魔達は次々と倒されていく。これもこの一ヶ月の成果だろう。
 
しかし、どこから湧いてくるのか。斬っても斬っても数は減らなかった。

「くそう……いつまでやったらいいんだ?」
 
蒼馬は息を切らしながら呟いた。

李苑が〝癒し”の力でサポートしてくれているが、妖魔によって傷ついた体を治療することは出来ても、疲労までは消せなかった。

「キリがないね。……それじゃ、俺が!」
 
蓮は、その細身の体のどこにそんな力があるのだろう、と思うような大剣を掲げた。

「皆、どいてて!」
 
剣の先に、ギュルルと音を立てて濃密な水の気配が集まってきた。スウッと息を吸い込む。

「水星竜波──!!」
 
中段まで振り下ろすと、剣からいくつもの水竜が飛び出してきた。それらは次々に妖魔を飲み込んでいく。
  
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