FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「おおおお! すげっ! すげっ!」
 
蒼馬は大口を開けて手を叩いた。
 
技を放った蓮は、ガクンと膝を折る。

「蓮!」
 
慌てて聖が駆け寄る。

「大丈夫か?」

「う、うん……。何か、力抜けちゃって。でも、大丈夫」
 
ニコッと笑う蓮に、ホッと胸を撫で下ろす。

「まだ、慣れないんだな、この力……」
 
聖は自分も技を放って倒れたことを思い出す。随分鍛錬したと思ったが……未だ、力量を出し切る身体が出来上がっていないようだ。

(今の状態では、ヴァジュラとは戦えない……)
 
そう思わざるを得ない。
 
しかし、力を身につけるだけの時間はあるのだろうか……。ふと、そんな不安が過ぎった。

この一ヶ月、まったく敵が攻撃を仕掛けてこなかったのも気になっていた。一体、何故だったのか。
 

  
そんな聖の懸念には気付かず、蒼馬は笑顔で駆け寄ってきた。

「今ので妖魔はいなくなったみたいだ。やったな、蓮!」

「うん……」
 
蓮が力なく返事をすると、李苑もやってきた。

「蓮くんはここで休んでいてくださいね。私、紅葉さん達を探してきます」
  
「あ、俺も行く」
 
聖が立ち上がる。
 
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