FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「ああ。私とてまだ年端もゆかぬ若者だ。慣れない事の前には緊張もする」
真吏は、そう答える。
それが、やはりとても緊張している者の発言とは思えなかったので。
「ぶあーっはっはっはっ!!」
前の席にいた蒼馬が派手に笑い出したのを皮切りに、全員が笑みを溢した。
「自分で“若者”って、おかしいから~!」
大笑いしながら蒼馬が言う。
先程まで石になりそうなくらい固まっていたせいもあるのか、変にツボに入ってしまったらしい。
蒼馬は異常なほど笑い続け、痙攣を起こしそうになり、隣の聖に背中を叩かれる。
「まあ、若者って言うより長老って感じよね、貴方」
紅葉は小声で呟き、クスクスと笑う。
「何がおかしいのだ」
何故笑われているのか分からない真吏は、一人憮然とした表情だ。
「いえ、真吏くんのおかげで心を落ち着ける事が出来ました。ありがとうございます」
穏やかにそう言ったのは李苑。
その表情から、まったく嫌味のない、純粋な気持ちから言ったのだと解る。それがかえっておかしくて、聖は不覚にも吹き出してしまった。
そんな李苑に、真吏は釈然としないままに「そうか」と一応納得して、シートに座りなおした。
それから言葉を交わすことはほとんどなかったが、邪空間が現れた時よりは穏やかな気持ちで、車に揺られていた。
真吏は、そう答える。
それが、やはりとても緊張している者の発言とは思えなかったので。
「ぶあーっはっはっはっ!!」
前の席にいた蒼馬が派手に笑い出したのを皮切りに、全員が笑みを溢した。
「自分で“若者”って、おかしいから~!」
大笑いしながら蒼馬が言う。
先程まで石になりそうなくらい固まっていたせいもあるのか、変にツボに入ってしまったらしい。
蒼馬は異常なほど笑い続け、痙攣を起こしそうになり、隣の聖に背中を叩かれる。
「まあ、若者って言うより長老って感じよね、貴方」
紅葉は小声で呟き、クスクスと笑う。
「何がおかしいのだ」
何故笑われているのか分からない真吏は、一人憮然とした表情だ。
「いえ、真吏くんのおかげで心を落ち着ける事が出来ました。ありがとうございます」
穏やかにそう言ったのは李苑。
その表情から、まったく嫌味のない、純粋な気持ちから言ったのだと解る。それがかえっておかしくて、聖は不覚にも吹き出してしまった。
そんな李苑に、真吏は釈然としないままに「そうか」と一応納得して、シートに座りなおした。
それから言葉を交わすことはほとんどなかったが、邪空間が現れた時よりは穏やかな気持ちで、車に揺られていた。