FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
都心部に近づくにつれ、周りの空気はより一層重いものになっていた。
車を運転している『術者』が、車に結界を張ってくれていたのだが、それも徐々に力を弱めていき、ついに車は停止した。
「すみません、これ以上は……」
運転手が謝る。
「仕方ないわよ、この空気じゃ」
紅葉は車を降りた。
全員、それに倣う。
あちこちに停止してしまった車が転がっている高速道路。
あれから5時間余り。
とっくに陽は沈んで、時間的には真夜中だが、いつもならばこんな時間でも明りは付いているはずの東京。
しかし、今は一筋の光すら見えない。闇の中に微かに見えるビル群の影は不気味に佇んでいた。
暗闇の中、時折強く風が吹きぬけ、それに混じって人々の悲鳴が聞こえてくる。『ゴーストタウン』という表現が似合いそうだ。
「まずは圭一郎さんのところへ……」
紅葉が言いかけた時。
下の方からけたたましい叫び声が聞こえてきた。一人だけのものではない。何十人という、悲鳴。
道路の下を覗き込むと、人々が逃げ惑っている姿が目に映った。それを追っているのは──妖魔。
「こっちが先……だな!」
真っ先に蒼馬が高速道を飛び降りた。
10メートルはあるだろう高さから、トン、と軽い音を立てて下の道路に足をつける。
「よっしゃあ~、いっくぜえ~!」
蒼馬は大気中から剣を引き抜き、人々を襲おうとしている妖魔に斬り込んで行った。
車を運転している『術者』が、車に結界を張ってくれていたのだが、それも徐々に力を弱めていき、ついに車は停止した。
「すみません、これ以上は……」
運転手が謝る。
「仕方ないわよ、この空気じゃ」
紅葉は車を降りた。
全員、それに倣う。
あちこちに停止してしまった車が転がっている高速道路。
あれから5時間余り。
とっくに陽は沈んで、時間的には真夜中だが、いつもならばこんな時間でも明りは付いているはずの東京。
しかし、今は一筋の光すら見えない。闇の中に微かに見えるビル群の影は不気味に佇んでいた。
暗闇の中、時折強く風が吹きぬけ、それに混じって人々の悲鳴が聞こえてくる。『ゴーストタウン』という表現が似合いそうだ。
「まずは圭一郎さんのところへ……」
紅葉が言いかけた時。
下の方からけたたましい叫び声が聞こえてきた。一人だけのものではない。何十人という、悲鳴。
道路の下を覗き込むと、人々が逃げ惑っている姿が目に映った。それを追っているのは──妖魔。
「こっちが先……だな!」
真っ先に蒼馬が高速道を飛び降りた。
10メートルはあるだろう高さから、トン、と軽い音を立てて下の道路に足をつける。
「よっしゃあ~、いっくぜえ~!」
蒼馬は大気中から剣を引き抜き、人々を襲おうとしている妖魔に斬り込んで行った。