FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
CHAPTER 10
暗闇の中をどんどん落ちていく。
自分が今まで何をしていたのか、それを忘れている事にも気付かずに、ただ身体が落ちている事だけを感じている。そんな不思議な空間。
(どこへ──)
重力に身を任せ、ふと思う。
(どこへ、行くのだろう……)
その想いに優しい声が返る。
『お前の帰りたいところだよ』
(帰りたいところ?)
景色が、広がる──。
「聖!」
甲高い声にハッと我に返る。
「……え?」
ぼんやりとした頭で、ゆっくりと辺りを見回す。
狭いながらも綺麗に整頓された、ソファセットとテーブルが真ん中に配置されたリビング。そして、目の前には見慣れた顔の女性。
「母、さん……?」
「なあに? どうしたの、そんなに驚いた顔して」
「何でここに?」
「何でって……今日はずっと家にいたじゃない。何言ってるの?」
「ここに……」
良く分からない。
今まで自分は何をしていた? 母は、ここにいたのか?
──そうじゃない。
一体、自分は何を言おうとしていたのだ……?
「聖、ぼうっとしていたもの。白昼夢でも見てたんじゃないの? まったく、寝てても起きてても一緒じゃ困るわよ?」
「……」
そう、なのだろうか。
ああ、そうだ。きっとそうなのだ。
夢でも見てぼうっとしていたのだ。
何の夢かは覚えていないが、それは思い出したくもないような悪夢だったような気がする。
自分が今まで何をしていたのか、それを忘れている事にも気付かずに、ただ身体が落ちている事だけを感じている。そんな不思議な空間。
(どこへ──)
重力に身を任せ、ふと思う。
(どこへ、行くのだろう……)
その想いに優しい声が返る。
『お前の帰りたいところだよ』
(帰りたいところ?)
景色が、広がる──。
「聖!」
甲高い声にハッと我に返る。
「……え?」
ぼんやりとした頭で、ゆっくりと辺りを見回す。
狭いながらも綺麗に整頓された、ソファセットとテーブルが真ん中に配置されたリビング。そして、目の前には見慣れた顔の女性。
「母、さん……?」
「なあに? どうしたの、そんなに驚いた顔して」
「何でここに?」
「何でって……今日はずっと家にいたじゃない。何言ってるの?」
「ここに……」
良く分からない。
今まで自分は何をしていた? 母は、ここにいたのか?
──そうじゃない。
一体、自分は何を言おうとしていたのだ……?
「聖、ぼうっとしていたもの。白昼夢でも見てたんじゃないの? まったく、寝てても起きてても一緒じゃ困るわよ?」
「……」
そう、なのだろうか。
ああ、そうだ。きっとそうなのだ。
夢でも見てぼうっとしていたのだ。
何の夢かは覚えていないが、それは思い出したくもないような悪夢だったような気がする。