FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
まだ少し靄がかかったようになっている意識の中に、涼しげな風鈴の音が響く。その音に誘われるように、外に目をやった。
真夏の太陽がジリジリと地面を焼いていて、蝉が煩いほどに鳴いている。
風が吹いて揺れる小さな青い風鈴は、真夏の喧騒をすーっと消していく。それがぼんやりした頭を徐々に現へと導いてくれた。
夏休みも半ば。
記録的な猛暑に見舞われ、連日のように蒼馬とプールに出かけていた。
その後は冷房の効いた図書館へ行き、涼みながら受験勉強。……そう、そんな忙しくも平凡な毎日を……送っていた、はずだ。
「聖、今日も蒼馬くんと約束があったんじゃないの?」
「あっ、そうだ」
時計に目をやると、10時をまわったところ。すでに約束の時間を過ぎていた。
「また文句言われる……」
「当たり前でしょう、貴方が悪いんだから」
母に窘められながら、急いで外に出る。
容赦なく照りつける太陽が、肌をチリチリと焼いた。
(あっちー……)
眩しい太陽に目を細め、自転車に跨る。
蒼馬との待ち合わせ場所へ急ぎながら、頭の片隅で小さく警報が鳴っている。
(チガウ)
この世界は。
(コレハユメノナカ)
「そんなことはないだろ」
無意識に呟いた言葉。
何かが、自分の中で鬩ぎあっている……。
真夏の太陽がジリジリと地面を焼いていて、蝉が煩いほどに鳴いている。
風が吹いて揺れる小さな青い風鈴は、真夏の喧騒をすーっと消していく。それがぼんやりした頭を徐々に現へと導いてくれた。
夏休みも半ば。
記録的な猛暑に見舞われ、連日のように蒼馬とプールに出かけていた。
その後は冷房の効いた図書館へ行き、涼みながら受験勉強。……そう、そんな忙しくも平凡な毎日を……送っていた、はずだ。
「聖、今日も蒼馬くんと約束があったんじゃないの?」
「あっ、そうだ」
時計に目をやると、10時をまわったところ。すでに約束の時間を過ぎていた。
「また文句言われる……」
「当たり前でしょう、貴方が悪いんだから」
母に窘められながら、急いで外に出る。
容赦なく照りつける太陽が、肌をチリチリと焼いた。
(あっちー……)
眩しい太陽に目を細め、自転車に跨る。
蒼馬との待ち合わせ場所へ急ぎながら、頭の片隅で小さく警報が鳴っている。
(チガウ)
この世界は。
(コレハユメノナカ)
「そんなことはないだろ」
無意識に呟いた言葉。
何かが、自分の中で鬩ぎあっている……。