FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「やめ、ろっ……」
 
一番見たくない、思い出したくない場面。
 
空には邪空間とヴァジュラ。奴がアナリスを手にかけてから、次に狙いを定めたのはティージェだった。しかし次に命を散らしたのはラクシュミーだ。

 
ヴァジュラはかなり衰弱した様子ながらも、不気味に微笑んでいた。
 
そして、今までに無いくらい強大な“気”が撃ち放たれる。

「やめっ……」
 
解っている。
 
ラクシュミーがどんな風に死んだのかなんて、とっくに解っている。見たくないから思い出さない“フリ”をしていたのに。
 
目を閉じてもなお、浮かんでくるその景色。
 
目前に迫ったヴァジュラの“気”の中心が、一瞬だけ影になる。──ラクシュミーが、ティージェの前に立ちふさがったのだ。

「──!!」
 
爆発に伴う大音響も、爆風も、“ティージェ”には何も感じられなかった。そんなことを感じている程の心の余裕は、なかった。
 
ティージェの痛みはそのまま聖に伝わってくる。
 
ラクシュミーはゆっくりと、後ろに倒れた。
 
軽くティージェに寄りかかったかと思うと、そのまま地面に身を投げた。
 
恐々と地面に目を落とす。

「……ラクシュ?」
 
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