FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「もう戦うのは止めよう? そうすれば、こんなことは起こらない……」

「何で、こんなことをっ……違う、これは、違う! これはお前の見せる夢だ!」

「そうかな?」
 
ファリアはクッと喉を鳴らす。

「いいや、これは現実だ。何度生まれ変わっても“運命”は変わらない。それはお前がようく知っているだろう?」

「──!」
 
そう、変わらなかった。
 
それは事実。
 
だから、二千年もの時を越えて、同じ戦いが繰り返されようとしているのだ──。

(だけど)
 
震える身体を必死に押さえようとする。が、押さえようとすればするほど震えは止まらない。

「お前は賢い……もう、解っているんだ。このまま戦っても、同じ事の繰り返しだと」

「……違う! そんな……ことは」

「何もするな……。静かに、眠っていればいい……眠りの中では誰も失うことはない。皆、お前の傍にいるぞ……」

「……」

辺りに漂うむせ返るような血の香りが、深い眠りへと導いていく。
 

このまま戦わずに済むのなら。
 
それでみんなを失わずに済むのなら。
 
眠っても、いい……。

 
だって。
 
未来には何もないのだから……。


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