FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
聖は沙都美の手を引いて反対方向に歩き出そうとした。だがその手をすり抜け、沙都美は父の方へと駆け出した。
「沙都美!」
急いで追いかける。
「セイっ、どうしたんだよっ」
訳を知らない蒼馬は、いきなり走り出した沙都美と聖の後を追った。
「沙都美っ、父さんは仕事なんだって、邪魔しちゃ駄目だろ?」
「だって……何か変なんだもんっ」
「何が?」
「……」
沙都美は立ち止まり、前方にいる父の姿を睨むように見た。
父はその女性と腕を組みながら歩いていた。父はその腕を払おうとしていたが、それもじゃれ合っているようにしか見えない。
「おかしいよ、絶対。……ねえ、お兄ちゃんもそう思うでしょう?」
言葉に詰まっていると、沙都美はまた走り出した。
そして、全てを知られる瞬間がやってくる。
肩を寄せ合い歩いていた父とその愛人は、沙都美が近づいていたとも知らず、人目を避けるようにビルの隙間で、口付けを交わしていたのだ……。
沙都美がショックのあまり、後ろにふらつくのが見ていて分かった。
「沙都美っ……」
慌ててその肩を支える。小さな肩は、小刻みに震えていた。
「お兄ちゃん……お、お父さん……」
何を言っていいのか分からないのだろう。ひどく狼狽しているのが見て取れる。
「おいっ、どうしたんだって」
追いついてきた蒼馬の声に我に返った沙都美は、聖を突き飛ばして、父のいる方とは逆方向に走り出した。
「えっ、沙都美ちゃん?」
「沙都美!」
急いで追いかける。
「セイっ、どうしたんだよっ」
訳を知らない蒼馬は、いきなり走り出した沙都美と聖の後を追った。
「沙都美っ、父さんは仕事なんだって、邪魔しちゃ駄目だろ?」
「だって……何か変なんだもんっ」
「何が?」
「……」
沙都美は立ち止まり、前方にいる父の姿を睨むように見た。
父はその女性と腕を組みながら歩いていた。父はその腕を払おうとしていたが、それもじゃれ合っているようにしか見えない。
「おかしいよ、絶対。……ねえ、お兄ちゃんもそう思うでしょう?」
言葉に詰まっていると、沙都美はまた走り出した。
そして、全てを知られる瞬間がやってくる。
肩を寄せ合い歩いていた父とその愛人は、沙都美が近づいていたとも知らず、人目を避けるようにビルの隙間で、口付けを交わしていたのだ……。
沙都美がショックのあまり、後ろにふらつくのが見ていて分かった。
「沙都美っ……」
慌ててその肩を支える。小さな肩は、小刻みに震えていた。
「お兄ちゃん……お、お父さん……」
何を言っていいのか分からないのだろう。ひどく狼狽しているのが見て取れる。
「おいっ、どうしたんだって」
追いついてきた蒼馬の声に我に返った沙都美は、聖を突き飛ばして、父のいる方とは逆方向に走り出した。
「えっ、沙都美ちゃん?」