FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
そのすぐ後に蓮は、飛高に仕える刈間家に引き取られた。そして紅葉は一人飛高邸に残り、陰陽家総領を引き継いだ。両親が残したものを護るんだと言って。

(紅葉は強い)
 
2つしか年は離れていないのに、こんなにも差を感じる。
 
それは自分の子どもっぽさを際立たせ、コンプレックスにもなっていたけれど、紅葉を尊敬する事に大きく繋がっていた。
 
蓮にとってただ一人の血縁者。
 
紅葉のために強くなりたかった。出来る事なら彼女の支えになる存在になりたかった。そのために陰陽家の仕事も覚えた。
 
いつか両親のように、総領の右腕として活躍出来るように。
 
そうして紅葉に認めてもらえるくらい強くなれたら、もう彼女に迷惑をかけることもない。

そうしたら、紅葉は誰に遠慮することもなく、泣く事が出来るのではないだろうか……。


「……お前は優しいね」

 
ふと、後ろから声がした。

ハッとして振り返ると、そこにはファリアの生まれ変わりの少女が立っていた。

「ファリア……! 今のは、君が……!?」
 
先程幻惑の世界に落とされたのだということをようやく思い出し、蓮は身構えた。

「いいや、これはお前の心の中。全部現実にあって、お前の心の中に大事にしまわれている過去。私はそれを形にしただけだ」
 
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