FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
物凄い勢いで走り去る沙都美に驚いている蒼馬の横を、更に聖が擦り抜けていく。
「おいっ、何なんだよーっ」
走り去る二人を振り返った瞬間。
「沙都美!!」
聖の声が響いた。
耳障りな高いブレーキ音が耳を劈く。次に、鈍く響く音が胸を貫く。
一人の少女が鉄の塊に突き飛ばされ、まるで人形のように宙を舞っている光景が、残酷なまでに鮮明に映し出された。
それはスローモーションのようにゆっくりと。高く、激しく鳴り響く音さえも美しい旋律のように響いた。
沙都美の体は、ゆっくりと、アスファルトの上に、落ちた。
誰かが救急車を呼べと叫び、何人もの人が周りに集まってきた。車の運転手が慌てて飛び出してきて、沙都美に駆け寄る。
聖はそれを、茫然自失のまま見ていた。
「沙都美ちゃんっ……セイ、どうしようっ……セイ? おい!?」
血だまりの中にいる妹の姿を見て、まったく動かない聖に声をかけるが、彼が蒼馬に返事をすることはなかった。
ずっと守ってきたものが消えてしまった。それが自分の精神を支えていたというのに。
支えを失った聖に残されたものは、からっぽになった心だけだった。
「おいっ、何なんだよーっ」
走り去る二人を振り返った瞬間。
「沙都美!!」
聖の声が響いた。
耳障りな高いブレーキ音が耳を劈く。次に、鈍く響く音が胸を貫く。
一人の少女が鉄の塊に突き飛ばされ、まるで人形のように宙を舞っている光景が、残酷なまでに鮮明に映し出された。
それはスローモーションのようにゆっくりと。高く、激しく鳴り響く音さえも美しい旋律のように響いた。
沙都美の体は、ゆっくりと、アスファルトの上に、落ちた。
誰かが救急車を呼べと叫び、何人もの人が周りに集まってきた。車の運転手が慌てて飛び出してきて、沙都美に駆け寄る。
聖はそれを、茫然自失のまま見ていた。
「沙都美ちゃんっ……セイ、どうしようっ……セイ? おい!?」
血だまりの中にいる妹の姿を見て、まったく動かない聖に声をかけるが、彼が蒼馬に返事をすることはなかった。
ずっと守ってきたものが消えてしまった。それが自分の精神を支えていたというのに。
支えを失った聖に残されたものは、からっぽになった心だけだった。