FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
蒼馬が宙を跳びながら聖を振り返ると、先程の位置からまったく動かず、ただ立ち尽くしているのが見えた。

「……セイ?」
 
蒼馬はビルの屋上に着地すると、真吏の跳んでいく方向を確認してから元の場所に戻った。

「セイ、どうした?」
 
軽く背中を叩くと、聖はハッとしたように蒼馬を見た。

「早くしないと置いてかれるぞ?」

「……ああ」
 
低い声で頷くと、李苑の元へ走る。それを見て、蒼馬は再度ジャンプした。

 
李苑の元に駆け寄った聖は、膝をついて彼女を抱き起こそうとした。だが、そこで手を止めた。

幻惑の中で見た血塗れの李苑が、今の姿と重なる。


『これは現実』

『何度生まれ変わっても“運命”は変わらない』

『愛しい者を失うのが、お前の“運命”』
 

十夜の言葉が頭の中を駆け巡った。
 
あれは、夢だ。

しかし……現実に起こり得る未来でもある。“運命”は変えられない。事実、蓮はあんな風に血塗れで倒れて──。


「セイ!」

 
蒼馬の声に我に返る。

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