FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「3時か」
 
真吏は高級そうな黒い皮ベルトの腕時計を見て、そう言った。

「紅葉の言う通りだ。少しでも体を休めよう」

「んだな。朝になったらまた戦いに行かないとだしな」
 
蒼馬も同意する。

「ってえわけで、じゃんけんだ」

「何で」

「何故だ」
 
聖、真吏、同時に訊く。

「決まってんじゃん。誰がベッドで寝るかだ!」

「……」
 
こんな時でも蒼馬は蒼馬だ……。聖は少し笑う事が出来た。 


 
結局勝ったのは真吏で、聖と蒼馬は床の布団で寝ることになった。

「5時間後に目覚ましをかけた。では、休ませてもらおう」
 
真吏は目覚ましをセットした時計を枕元に置くと、早々に眠りに付いた。

「すげえな、真吏のマイペースっぷりは」
 
と言いながら、蒼馬も横になる。
 
真夏のこの時期、夜中でも暑さは残るはずだが、邪空間の影響なのか、肌掛け布団まで被らないといけないくらいに冷え込んでいた。
 
聖も同じように布団に潜ると、目を閉じてみた。
 
だが、神経が昂っているせいか、眠る事は出来なかった。

そのまま少し時間が過ぎて。


「セイ、寝たか?」
 
蒼馬が話しかけてきた。

「いや……」
 
真吏を起こさないよう、静かに返事を返す。

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