FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
『……始まってしまった……』
運命の輪を廻す女神、フォーチュンは静かにそう告げる。
『二千年前からの運命が、一人の少女の犠牲により廻り始める。また、あの悲劇が繰り返されるのか……』
声は淡々としていた。フォーチュンは感情のない女神である。しかし。彼女は何の感情も表さない無機質な瞳から、一粒、二粒と涙を落とした。
歯車──運命の輪に手を触れると、また後方に景色が広がった。
それは白い壁に囲まれた建物の中。
祈るように手を合わせる静と、それに寄り添う聖。少し離れたところには父親の姿もあった。
三人の目の前にある集中治療室の中では、色んな機械や管に囲まれた沙都美が、ベッドの上で眠っていた。
『彼女が目を覚ますことはない。永遠に』
聖の顔には生気というものが感じられなかった。しかし父親の姿を視界に入れると、激しい怒りの表情で殴りかかっていった。だがそれは軽々とかわされる。
そして、聖はその場から走り去った。
もう二度とこの場所に帰れないことを知らぬまま、街を出て行く。
運命の輪を廻す女神、フォーチュンは静かにそう告げる。
『二千年前からの運命が、一人の少女の犠牲により廻り始める。また、あの悲劇が繰り返されるのか……』
声は淡々としていた。フォーチュンは感情のない女神である。しかし。彼女は何の感情も表さない無機質な瞳から、一粒、二粒と涙を落とした。
歯車──運命の輪に手を触れると、また後方に景色が広がった。
それは白い壁に囲まれた建物の中。
祈るように手を合わせる静と、それに寄り添う聖。少し離れたところには父親の姿もあった。
三人の目の前にある集中治療室の中では、色んな機械や管に囲まれた沙都美が、ベッドの上で眠っていた。
『彼女が目を覚ますことはない。永遠に』
聖の顔には生気というものが感じられなかった。しかし父親の姿を視界に入れると、激しい怒りの表情で殴りかかっていった。だがそれは軽々とかわされる。
そして、聖はその場から走り去った。
もう二度とこの場所に帰れないことを知らぬまま、街を出て行く。