FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「ここに座りなさい! 命令よ!」
 
突然大声でそう怒鳴られ、十夜は萎縮する。
 
しかし、おずおずと李苑の隣に座った。紅葉の威圧感もあったのだろうが、蓮を傷つけたことに罪悪感を感じている彼女に、逆らう意思はなかった。

十夜が座ったのを見て、紅葉も座る。

「あの……」
 
紅葉と十夜を見比べながら、李苑は静かに声をかける。

「ええと……十夜さんは、お幾つなんですか?」
 
その質問に、2人とも意外そうな顔で李苑を見る。

「あ、その、やっぱり、お互いを知り合わないといけませんよね?」
 
にっこりと笑う李苑に、紅葉も表情を崩す。

「そうね。まずは自己紹介から。私は飛高紅葉、17歳よ」

「私は紫乃原李苑と申します。14歳です。あ、中学3年です」
 
努めて明るくそう言う2人に、十夜も少し表情を和らげた。

「有馬十夜。15歳。高1……です」

「あら、真吏と同級生なのね」

「そうですね」

「真吏?」

「ええ、柊真吏。黒髪サラサラヘアーのお坊ちゃまのことよ。ああ、『増長天』って言った方が分かりやすいのかしら?」

「ああ……そうだな」
 
十夜は頷く。

「短髪でスポーツマンって感じの男の子が堺蒼馬。『持国天』ね」
 
また十夜は頷く。

「で、超絶イケメンに成長しそうなのが天野聖。『毘沙門天』」

「く、紅葉さん…」
 
今の紹介の仕方が可笑しかったのか、李苑はクスクス笑う。

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