FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「もう蓮くんが傷つかないように。私も……もう、誰かが傷つくのは見たくありませんから……」

「……そうね。それがいいわ」
 
紅葉はその提案に同意する。

「貴女は蓮を護りつつ、ヴァジュラを倒す。……頑張っていれば、皆、貴女を許してくれるわよ」
 
ね、と笑う紅葉と李苑に、十夜は頭を下げた。

「ごめんなさい……ありがとう……」
 
ポタリ、ポタリと落ちる涙。
 
それを見て優しく微笑む紅葉と李苑。

「泣かないでください」
 
肩に置かれた優しく暖かい手に、十夜は頷きながらも涙は止まらない。

「そうよ。それに、謝るなら蓮にね。あの子ならきっと許してくれるから。……ああ、どっちかっていうと、『俺が君を元に戻してあげられなかったからだ! 俺の方こそごめん!』って、逆に謝りそうね」

「うふふ、そうですね」
 
そんなやり取りを聞いているうちに、十夜の心は少しずつ軽くなっていった。そして強く心に誓う。この人達を絶対に護ると。



そうして、少女達は眠りに付いた。
 
しかし李苑だけは何となく眠れずに、そっと、窓を開けてみた。
 
冷やりとした夜気が流れてくるその先がバルコニーであると分かって、外に出てみる。
 
そこに人影があった。
 
目を凝らして良く見てみる。境内の方からの僅かな明りに照らされたその輪郭は……聖だった。

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